2009年06月

ウィーン売買条約締結の経緯とその概要~日本法との比較を交えて~
曽野裕夫 北海道大学大学院法学研究科教授

■ はじめに  「国際物品売買契約に関する国際連合条約」(略称:「ウィーン売買条約」または「CISG」)は、国際的な物品売買契約に適用される私法統一条約である。日本国政府は08年7月1日に同条約への加入書 注1 を国連事務総長に寄託し、同条約は、わが国については本年、09年8月1日にその効力を生ずることとなった。この条約は、わが国の主要貿易相手国の多くを含む73か国が締約国となっており(日本は71番目の締約国)、日本企業の関わる貿易取引の多くは本条約の適用を受けることになる。従来、貿易取引の準拠...

[Focus]日本版フェアユース規定の導入でビジネスは変わるか?(4)
上野達弘 立教大学法学部准教授

考慮要素を明示した受け皿規定の導入が法的安定性を高める ■ 一般条項の必要性 ―― なぜ「日本版フェアユース規定」が必要とされているのでしょうか。  現行の著作権法では、権利の制限規定は厳格に解釈すべしというのが従来の判例・通説なのですが、厳格解釈を貫くと誰もが不都合だと思う結論になってしまうことが多々あります。例えば、自宅でテレビ番組を録画して個人用のビデオ・ライブラリーを作った場合、起草者の逐条解説書によれば、それは私的複製として許される範囲を超えたものとされています。もしこれが違法ならハー...

[Focus]日本版フェアユース規定の導入でビジネスは変わるか?(3)
伊藤 真 弁護士・弁理士

一般規定の濫用が権利者の泣き寝入りを生む恐れも ―― 「日本版フェアユース規定」の導入に賛成でしょうか。  導入した場合の弊害について十分な議論がなされていないので、慎重論です。たしかに、フェアユース規定があれば、「雪月花事件」のように、不合理な結論を回避するための無理な条文解釈が不要になるという利点があります。しかし、フェアユースの基準が曖昧で拡大解釈されてしまえば回復不可能な被害が権利者に生じることも予想されます。  導入した場合に発生する問題点を十分に検討するとともに、制限規定等の法改正に...

[Focus]日本版フェアユース規定の導入でビジネスは変わるか?(2)
内藤 篤 弁護士

中長期的な観点から法的インフラの整備として必要 ―― 映画・音楽業界にとって、フェアユース規定の導入は望ましいことでしょうか。  プラスになることはあっても、マイナスになることはあまり考えられません。もちろん個人の考え方次第ですから、もっぱら権利者として許諾することばかりを意識している業界人などは、必ずしも賛成ではないかもしれません。ただ、本当の意味での“プロデューサー”は、作り手として「他人の著作物が少しでも映像に写り込んでいたら著作権侵害になるのでは?」といった類のモヤモヤに常にさらされてい...

[Focus]日本版フェアユース規定の導入でビジネスは変わるか?(1)
中山信弘 弁護士・東京大学名誉教授

08年10月、政府の知的財産戦略本部に設置されたデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会は、日本版フェアユース規定を導入することが適当である、とする報告案をまとめた。今後、具体的な規定のあり方等について、文化庁での審議会に委ねられることになる。 注目を浴びている日本版フェアユース規定であるが、導入された場合の影響については論者により見方が異なるところだ。編集部では、日本版フェアユース規定の導入論議をリードしてきた中山信弘氏と上野達弘氏、著作権法の実務に詳しい弁護士の内藤篤氏と伊藤真氏にビ...

国際法にアジアの視点を
中川淳司 東京大学社会科学研究所教授

─研究者と実務家のコラボレーションを促進する アジア国際法学会第2回大会が8月に東京で開催─ アジア国際法学会(小和田恆会長)の第2回大会が8月1日、2日に東京で開催される。「多極・多文明世界における国際法:アジアの視座、アジアの課題、アジアの貢献」をテーマに、公開フォーラム、全体セッションおよび国際人権法、国際刑事法、国際環境法、国際経済法等に関する14のパネルが開催される。 国際経済法に関するパネルの一つでモデレーターを務める、中川淳司・東京大学社会科学研究所教授に、企業の法務担当者にとって...

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