2013年09月

[連載小説]戦う法務課長 第22話「新人教育編④」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

環 境   隼太郎は、中堅総合商社ミシマの法務部部長補佐である。極度の喫煙癖とややアルコール依存の体質であり、オフィスを抜け出しては近所の喫茶店で書類をみたり、打合せをすることが多い。会社として、就業規則上問題がないとはいえないが、隼が、雇用契約上従業員に求められる「職務専念義務」を果たしていることについては、人事を含め、関係部署の人間達は認めざるをえない。 隼自身、自分の欠点は十分にわかっているが、身についたリズムというか,習性を変えることは難しい。結局は、「自分らしさを活かしながら...

[連載小説]戦う法務課長 第21話「新人教育編③」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

始 動   社名が、「三島工商株式会社」から「ミシマ」へと変わり、あらたに法務部が独立した組織となった。隼太郎は、部長補佐に昇進…といっても、実際に行なっている業務は課長職の頃と大差ない。一方で、隼は新設された「コンプライアンス部」の部長も兼務している。 現在の法務組織は、隼と乾美和の2名しかいない。さすがに、会社もこれではまずいと思ったのか、ヘッドカウントを2名追加することになった。しかし、法務を管掌する管理本部長の意向で、その2名は即戦力を中途採用するのではなく、今年入社した新人の...

[連載小説]戦う法務課長 第20話「新人教育編②」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

『調達資金』隼は、自分でも少しずつ熱が入っていくのがわかった。思ってもみなかったことだが、つまり、若者とのこうした掛合いが楽しいのである。面倒なことでしかないと思っていた新入社員向け研修の講師がこれほど興味深いとは、まったく予想していなかった。「さきほど、乾さんが言われた『調達資金』、というのは何でしょうか?」ミシマが、中国の製造業者から商品を購入し、韓国の販売業者へ販売するいわゆる「三国間取引(仲介取引)」が成立する理由が、ミシマの「商社金融」機能にあると発言して隼を驚かせた若者が、再び質問し...

[連載小説]戦う法務課長 第19話「新人教育編①」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

変 化   三島工商株式会社は総合商社である。規模は財閥系には及ばないものの、社員数は2,000名弱で、エネルギー、プラント、重機械、船舶・航空機、化学品、物資、繊維、食料と一通りの産業分野をカバーしている。国内取引よりは、海外での取引であげる収益のほうが高い。小回りがきくので、地道に利益を積みあげるタイプの商社であると業界誌の記者達には思われているようだ。ただし、時として、商社特有の荒っぽい取引もあり、せっかくの収益を特別損失で帳消しにしているという指摘もある。 三島工商は、年明けに...

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