2013年10月

[連載小説]戦う法務課長 第26話「新人教育編⑧」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

初出張   隼は、中堅総合商社ミシマの法務部の部長補佐(法務課の課長を兼務していたので、自分では実質的に課長であると思っている)である。この4月に組織変更があり、また、コンプライアンス部が新設されたことで、隼は法務とコンプライアンスの双方を見よ、ということになっている。 部下は、外資系企業の法務部から転職してきた乾美和、この4月に新入社員として配属された堺健介と湊蓉子である。乾と堺に留守を任せ、隼は湊とベトナムに出張にきている。 思えば、出張につぐ出張の日々を過ごしてきた。出張は、日常...

[連載小説]戦う法務課長 第25話「新人教育編⑦」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

入 社   今、自分がまがりなりにも法務部の部長補佐(実質的には課長であったが)としてこなしている毎日の仕事を振り返ると、不思議な気分になる。本当にこれが「やりたいこと」だったのか…。 隼が、中堅総合商社ミシマ(当時は、三島工商といっていたが)に入社したのは、1984年。当時は、バブルに向かう過渡期であり、総合商社は花形的な存在であった。隼は、別に商社を希望していたわけではない。が、大学近所の喫茶店に貼られた「就職説明会」の案内を見て、交通費と食費が出るならと、物見遊山で出かけたのであ...

[連載小説]戦う法務課長 第24話「新人教育編⑥」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

口 伝中堅総合商社ミシマの法務部に配属された堺健介と湊蓉子は、隼から2人の面倒をみるよう指示を受けた乾の指導を受けている。乾は、2人にミシマの法務部がかつて作成した英文契約書式集を素材に、国際取引契約に関する基本を学び取ろうとしている。そんな2人と乾を連れて、隼はなじみの小料理屋で、饒舌になりすぎないように注意しつつ杯を重ね、法務マンとしてのマインドを伝えようとしている。隼が若かりし頃は、残業の後、先輩社員や上司と呑みに行くのが日課だった。呑みに行くといっても、新入社員や若手は一切気がぬけない。...

[連載小説]戦う法務課長 第23話「新人教育編⑤」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

俯 瞰中堅総合商社ミシマの化学品部門における海外戦略は、アジアに関して、4つの活動拠点を構えている。すなわち、中国、フィリピン、タイ、ベトナムである。インドにも進出しようとしているが、まだ、会社経営陣の判断は取れていない。現拠点での収益体制を磐石なものにすることが、最優先課題といわれている。間は、拠点の1つであるベトナムの駐在員である。ベトナムの化学品会社SDF社とのジョイント・ベンチャーであるミシマ・SDF・ケミカルコーポレーション(略して「MSC」と社内では呼ばれている)に、財務、経理の担当...

1