2014年01月

[連載小説]戦う法務課長 第36話「新人教育編(18)」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

秒読み 中堅総合商社のミシマは、財務状況を改善し、自前でビジネスのための資金を創出すべく、保有する融資債権や投資先の株式を売却することを決定した。融資債権のなかには、優良なものもあるが、いわゆる回収が滞り、社内的には「塩漬け案件」と言われている不良債権も含まれている。ミシマとしては、投資家に対する説明上、こうした不良債権を順次整理していくことを示していかねばならない環境にあった。いわゆる「臭いものには蓋」をできる時代ではなくなったのだ。ミシマの経営陣は、財務体質の改善・強化と投資家への...

[連載小説]戦う法務課長 第35話「新人教育編(17)」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

報 告   中堅総合商社ミシマは、財務状況を改善し、また銀行からの融資にはなるべく頼らず、自前でビジネスのための資金を創出すべく、保有する融資債権や投資先の株式を売却する社内決定を行った。ただし、決定内容は、創出する目標金額を定めるとともに、売却に伴うロス(損失)の大まかな金額を見込んでいた。 融資債権の売却にあたっては、額面金額より低くなることは避けられない。財務部資金課の課長で、今回の資産売却のリーダーである峰は、今朝も財務担当役員の部屋に呼ばれた。進捗状況を報告するためである。 ...

[連載小説]戦う法務課長 第34話「新人教育編(16)」
北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役

ある早朝   中堅総合商社ミシマ法務部の新入社員の湊は、最近、早朝出社をすることにした。書店で見かけた早起き関連の書籍をいくつか立ち読みするうちに、早朝の時間をうまく使うと仕事の効率が上がるのではないか、という気がしたからだ。湊の住むアパートから会社までは、電車で約45分。車中も座って本が読めるようにと、始発に近い電車を選ぶようになった。昔読んだ企業法務をテーマにした小説のなかで、登場人物が早朝から竹刀の素振りを行った後、我妻榮の「民法講義」を読む、というシーンがあった。そこまで、スト...

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