日本を、有権者の多数決で立法し、かつ、行政府の長を選ぶ民主主義国家へ変えよう

2009年8月12日|升永英俊 弁護士
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仮に、男は1票、女は0.9票という一票の不平等を定める選挙法の規定があったとしましょう。
更に、最高裁判所のある裁判官は、「この男女の1票の不平等を定める選挙法の規定は、合憲かつ有効」という意見であり、他の裁判官は、「この男女の1票の不平等を定める選挙法の規定は、違憲かつ無効」という意見だとしましょう。

最高裁判所裁判官に対する国民審査の時に、100人の女性中、100人が、国民審査権の行使として、有効派裁判官(合憲派)に不信任の投票をするでしょう。100人の男性の多くも、同じように、不信任の投票をするでしょう。選挙権を性によって差別することは、不正義 だからです。

ところが、あなたの選挙権は、住所によって、この0.1票の性による差別以上にひどく差別されています。衆議院選挙での選挙権の価値は、高知3区の有権者の選挙権を1票とすると次のとおりです(2008年12月25日付総務省資料)。

例えば、京都1区(京都市北区等)有権者:0.6票
― あなたの選挙権の価値は、こちら(「一人一票実現国民会議」サイト)の簡易検索から瞬時に検索できます -

仮に、1000万人有効投票者の1人当たりの1票の価値は、実は、0.6票でしかなかったとしましょう。
1人当たり0.6票の価値しか与えられていない有効投票者1人1人は、自己の投票用紙を、1票の価値のある投票用紙と信じて投票しています。ところが、開票すると、これらの0.6人前の1000万人の有権者が投じた1000万枚の投票用紙は、600万票の投票済み投票用紙の価値しかありません。ということは、例えて言えば、開票時には、400万票の投票済投票用紙が本人の同意なく透明人間によって抜き取られていることと同じです。
ある発展途上国の選挙で、選挙の投票箱が違法に持ち出されたり、破棄されることを防ぐために、国連の国際監視委員会の人々が、国外から続々と入国した、と報じられました。選挙の投票箱の不正な持ち出しは、民主主義を根底から破壊する行為です。
国政選挙での「1票の不平等」の問題は、選挙人が行使する「1人1票」の権利を否定する点では、「投票箱の不正持ち出し」と変わりません。
住所を理由とする「1人1票」の否定は、不正義の最たるものです。

米国連邦最高裁判決(Karcher v. Daggett, 462 U.S. 725 1983年)は、1983年、米国下院議員選挙に関し、1票対0.993票の1票の不平等(ニュージャージー州の4区の人口:527.472人〈最大〉;同州の6区の人口:523.798人〈最小〉。両選挙区の人口差:3,674人(=527,472-523,798)。3,674(人)÷527,472(人)≒0.00697。6区(最大)と4区(最小)の1票の不平等は、1票(6区)対0.993票(4区)です。)を定めるニュージャージー州選挙法を違憲・無効としました。米国(合衆国連邦)は、地球上で初めて建国された民主主義国家です。この民主主義の発祥国・米国の連邦最高裁は、この1983年判決で、「1人1票」の保障という「法の支配」を実現するために、違憲立法審査権を行使しました。

重大な問題は、しばしば、際どい多数決により決着しています。
2008年11月の米国大統領選挙で、大勝したように広く報道されているオバマ候補は、実は、全有権者の53%しか得票していません。マケイン候補は、大敗したような印象をもたれていますが、46%の得票率です。議論のための議論として、「1票の不平等」が、オバマ候補にわずか0.1票不利であったと仮定すると、オバマ候補は米国大統領に就任し得なかったのです。
以上のことから分かるとおり、例え0.1票差の不平等であっても、「一票の不平等」のもたらす反民主主義性は重大です。

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