[連載小説]戦う法務課長 第2話「契約内容の検討」

2013年5月10日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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早 朝

 

 午前645分。誰もいないオフィス。隼は、まだ目を通していないメールや、回覧物を処理しようと早めに出社した。昨晩は、英国の機械メーカーとの販売代理店契約、イスラエルのバイオ関係のベンチャー会社との将来の事業展開に関する協定書他5件の契約を検討し、加えて、頓挫している香港不動産プロジェクトについての相談を受ける等、息つく暇もなかった。90通近い未開封のメールのタイトルのみをざっと確認。今日の予定をチェックする。今日こそは、先日、依頼のあったロシア向け掘削機械商売にからんだ契約内容検討に時間を割かなければならない。隼は、書類と自分のノートパソコンを持って、会社が入っているビルの隣にあるファミリーレストランにむかった。全館禁煙のためだ。

 

至 急 PCB

 

 午前835分。席に戻った隼の机に「至急PCB」のメモがあった。Please Call Back(折り返し電話乞う)の略だ。隼はこの「至急」という接頭辞をみると、だいたい、世の中に真に「至急」という事態がどれほどあるのだろうか、とうんざりする。

 「電話もらいました。打合せは、明後日の10時でしたよね。」

 「おお、隼先生。実は、ロシアのバイヤーとの交渉日程が急に繰り上がってね。申し訳ないが、会議を今日の午後にしてもらえないかと思ってね。」

 隼は、本来、今日の午後にやるべきであった仕事のリストを思い浮かべた。コメントを出す締め切りが過ぎている案件が2つある。また、今日も遅くなりそうだ。

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