[連載小説]戦う法務課長 第5話「契約交渉③」

2013年5月30日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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社内説得

 

隼は、「予算措置上の枠組みのなかで、無理なことを要求し続けても意味はない。それよりも、政府に売買契約の内容を認知させ、かつ、保証に関する予算措置を組むことを目標付ける内容の書面に署名させることで、万が一の際、例えば、外交ルートで圧力を加える交渉を行う際の材料となることが期待できます」と主張した。

隼は、過去、ロシアの案件で、外交ルートを通じた交渉を行うことで、なんらの義務もなかった政府機関が債務を引き受けるかたちで和解したケースを思い出したのだ。日本政府との経済会議のなかで、日露民間企業間での未解決問題として取り上げられたことで、ロシア側が急速に態度を軟化させ、責任の一部を引き受けることになった例がある。

隼の説明と、商機を逸するべきではないというコマーシャルな判断により、ようやく本社側は、隼の提案を了承した。

 

交渉難航

 

エレーナ・イワノバは、日本側の提案を注意深く検討した。政府が提供しうる法的枠組みのなかに、すべて納まっているように思える。それでも彼女の上司は、日本側提案を実質的に骨抜きにするような対案を出すことをエレーナに求めてくる可能性がある。

「政府として、こうした基本契約を締結するためには、閣議決定が必要かと思われます。かなり時間がかかります」

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