[連載小説]戦う法務課長 第19話「新人教育編①」

2013年9月05日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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変 化

 

三島工商株式会社は総合商社である。規模は財閥系には及ばないものの、社員数は2,000名弱で、エネルギー、プラント、重機械、船舶・航空機、化学品、物資、繊維、食料と一通りの産業分野をカバーしている。国内取引よりは、海外での取引であげる収益のほうが高い。小回りがきくので、地道に利益を積みあげるタイプの商社であると業界誌の記者達には思われているようだ。ただし、時として、商社特有の荒っぽい取引もあり、せっかくの収益を特別損失で帳消しにしているという指摘もある。

三島工商は、年明けに「㈱ミシマ」への社名変更を発表した。経営陣は、従来型の商圏にあぐらをかき続けられないことを認識し、地球の果てまで駆けずりまわっても商売を開拓しようという決意表明の意味もこめて、「工商」と決別したのである。「工商さん」と呼びなれた、旧社名の存続を願う取引先は少なくなかったが、臨時株主総会では大幅な組織改革とともに、たいした反対の声もなく承認決議された。

 

昇 進

 

 隼太郎は、ミシマの法務課長である。部下は、現在までのところ中途入社の乾美和のみである。もう1人、大学を8年かけて卒業した年齢だけは中堅並みの社員がいたが、もう1度司法試験を目指すといって退職した。いくらなんでも、隼と乾の2人では仕事がまわらない。隼は、以前より即戦力の増員を部長に求め、企業法務経験5年以上、分厚い契約書を読むことを厭わず、交渉ごとになるとまんざらでもない性格、という指定を提出してあった。

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