[連載小説]戦う法務課長 第20話「新人教育編②」

2013年9月13日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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『調達資金』



隼は、自分でも少しずつ熱が入っていくのがわかった。思ってもみなかったことだが、つまり、若者とのこうした掛合いが楽しいのである。面倒なことでしかないと思っていた新入社員向け研修の講師がこれほど興味深いとは、まったく予想していなかった。

「さきほど、乾さんが言われた『調達資金』、というのは何でしょうか?」

ミシマが、中国の製造業者から商品を購入し、韓国の販売業者へ販売するいわゆる「三国間取引(仲介取引)」が成立する理由が、ミシマの「商社金融」機能にあると発言して隼を驚かせた若者が、再び質問した。

「君の名前は?」

「堺健介です」

隼は、手元の名簿にちらりと目を落とした。有名私立大学法学部出身。ゼミは、商法。サークルは、テニス。趣味は、スキー。司法試験受験歴あり。択一式試験の合否は定かでない。自分と正反対のタイプである。隼は、健康的な生活に縁がない自分に負い目を少し感じた。

「商売するときに必要なものは何だろうか?」

隼は、堺の質問に直接答えず、周囲を見回しながら問いかけた。どうやら、彼らには思ってもみなかった質問のようである。一同、隼の説明を待っている。その雰囲気を痛いほどに感じながら、隼はホワイトボードに簡単に単語を書き連ねた。

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