[連載小説]戦う法務課長 第24話「新人教育編⑥」

2013年10月11日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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口 伝



中堅総合商社ミシマの法務部に配属された堺健介と湊蓉子は、隼から2人の面倒をみるよう指示を受けた乾の指導を受けている。

乾は、2人にミシマの法務部がかつて作成した英文契約書式集を素材に、国際取引契約に関する基本を学び取ろうとしている。そんな2人と乾を連れて、隼はなじみの小料理屋で、饒舌になりすぎないように注意しつつ杯を重ね、法務マンとしてのマインドを伝えようとしている。

隼が若かりし頃は、残業の後、先輩社員や上司と呑みに行くのが日課だった。呑みに行くといっても、新入社員や若手は一切気がぬけない。注文やら、空いた杯に酒を注ぐやら、やることは山ほどある。

しかも、ある程度酒がまわってくると、必ずお説教が始まる。隼は、そうした席で、ほめられたことが1度もない。オマエはここがいけない、あそこはこうしなければならない・・・。ただ、そうしたグチのような言葉でも、今思い出すと、それなりに、意味があるように思えてくるから不思議である。酒を呑みながらのコミュニケーションがベストだとは思わない。が、呑みながらのやりとりのなかで、仕事にどう取り組むかのヒントを得てきたような気がしている。

隼が、管理職となった頃から、そうした「飲み会」は、ミシマのなかから姿を消していった。しかし、いまどき、残業のあとの飲み会なぞ流行らないことも十分に認識しているが、それでも、たまには誘わずにはいられない。仕事に行き詰まっているときに、「今日はもうそのくらいにしとけ、行くぞ」といわれたとき、またお説教を食らうのか、と思う反面、面白い話が聞けることへの期待があったのも事実である。

隼は、できる限り、そうした機会を若い法務マンたちに提供したいと考えている。それが、自分自身の若さを保つ秘訣だと思いながら。

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