[連載小説]戦う法務課長 第28話「新人教育編⑩」

2013年11月07日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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反 響

 


堺が作成した国際取引に関する営業担当者向けのQ&Aを社内のイントラネットに公表したところ、多くの問い合わせがあった。社内の連絡先を堺の電話番号にしたからだ。あらかじめ想定される質問とその回答をイントラネットに掲載することで、業務の効率化を図ろうと思い、作成したのだが、かえって、その後の対応に多くの時間がとられるようになった。堺は、通常業務に加えて、イントラネットに掲載したQAの更新に追われる毎日となった。

実は、これこそが、隼の狙いであった。人は何か一つの作業に集中していると、そのなかで、よりよいもの、効率的な方法、よりわかりやすく見栄えのよいかたちを目指すようになる。法務の人間はえてして、理屈が通っていれば、それでよしとする傾向がある。

しかし、大切なことは、作成したものを人が理解してくれることだ。隼は、かつて上司に、コメントを作成する際、文章の段落のつけ方から、文句をつけられた覚えがある。「見栄え」は、「中身」より大事なのである。「見栄え」が悪ければ、中身が良いか悪いか判断のしようがないからだ。最近は、「プレゼン(プレゼンテーション)」という言葉も聞かれるとおり、見栄えよく発表できることが、ビジネスの成功の条件となりつつある。

隼自身は、決して、うまくプレゼンテーション資料を作ることができるわけではない。が、それでも、何とか見栄えをよくしようと、時々図書館で借りてきたやや古い版のマニュアル本を参照しながら工夫をしている(パソコン関連の書籍の寿命は短く、図書館で調達すべき、というのが隼の妙なこだわりであった)。

「堺が、対応に四苦八苦している…」乾からのメールをみて、隼はほくそえんだ。今、出張に同行している湊にも帰国したら、何かをみつけてやってもらおう。

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