[連載小説]戦う法務課長 第32話「新人教育編⑭」

2013年12月06日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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貿 易

 


貿易と国内取引の違いの1つに決済方法がある。国内取引において利用される決済方法は、現金(銀行送金を含む)、手形、小切手が主なものだ。堺は、入社時の新入社員研修で渡された貿易実務の詳細で分厚い資料の最初の記述を思い出していた。

国際的な取引においては、信用状(Letter of Credit、通称「LC」)がよく利用される。これは、例えば、二国間の貿易取引において、取引関係にある銀行間の決済機能を利用する方法だ。

つまり、輸入国の銀行が、信用のおける輸入者のかわりに輸入代金を支払う旨を確約する書面、すなわち信用状を発行する。信用状には、商品の輸出者(Shipper)や貨物の詳細等が記載されている。信用状は、輸入国の銀行から輸出国の銀行へ送られ、輸出代金が輸出者に支払われる。輸出者は、貨物を輸出したことを証明する船積書類(Shipping Documents)を輸入者へ送付し、輸入者は、船積書類と引き換えに貨物を運んだ船会社から貨物を受け取る。

信用状による決済のポイントは、いわば輸出代金を銀行が立替払いすることで、輸入者の信用リスクを回避できるところにある。

しかし、代金決済を行う銀行からしてみれば、曖昧な書類の内容で資金を決済するわけにはいかない。そこで、実際に到着した貨物に関する船積書類の記述と、信用状の記述に相違がないかどうかを細かくチェックする。

ここで、相違(Discrepancyを省略して「ディスクレ」というのを堺は入社して初めて知った)があれば、銀行は当然支払いを拒否する。したがって、ミシマにおいても、LCの内容をチェックする専門の部署があるほど、銀行はディスクレに厳しい。たとえ些細なミスタイプであっても、ディスクレを理由に「アンペイ(Un-pay)」を喰らったことが過去にも何度かあったという研修の講師の話を堺は思い出した。

しかし、今晩の相談はディスクレがらみではなさそうだ。

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