[連載小説]戦う法務課長 第33話「新人教育編(15)」

2013年12月13日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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部内会議

 

中堅総合商社ミシマの法務部のメンバーが久しぶりに揃った。出張から戻ってきた隼は、急に部内会議をやろうと言い出した。

出張から戻ってきたら、出張中に溜まった業務を処理して通常のペースに戻るには、出張日数の2倍の日数がかかる、というのが、いつもの隼の口癖であったから、しばらくは、黙々とデスクの上にある申請書やら回覧、郵便物に目を通すかと乾は思っていた。しかし、隼は、手早く急ぎの申請書に目をとおし、社内にいくつか電話をかけた後、会議が招集されたのだ。

隼が、部内会議を開くことは珍しい。通常は、業務処理を通じて意思疎通ができているからだ。何かあるな、と全員が見守るなかで、隼は出張期間中、何か問題はなかったかと、乾と堺に尋ねた。堺は、先日、相談を受けたベトナムのL/CLetter of Credit)の不払いの案件を報告した。この件は、金額が大きいだけに、堺は乾にも報告し、逐一指示を仰ぎながら処理を進めている。

どうやら、ベトナムの銀行がL/Cの不払いを起こしたのは、預金を同行の頭取が、私的に流用したことが原因で検察当局の捜査が入り、一時的に銀行業務が停止しているかららしい。

情報の出所とその裏づけを営業部隊が必死になってとろうとしている。しかし、それと並行して、L/C不払いを理由として出荷を止めてある貨物の処理をどうするか、またあいかわらず出荷を催促するベトナムの化学品会社ベトケムへの対応をどうするかを検討中だ。どうやら、機械設備は、大幅な値引きをすれば転売は可能とのことだ。

隼は、その件については、引き続き乾に報告しながら進めること、社内の動向に十分注意すること、および法務として本件に関しての選択可能な手段を整理し、それぞれの実行可能性をまとめ、営業部隊へのアドバイスを"recommendation"というかたちでまとめるように指示をした。

必要であれば、ベトナムの法律事務所を起用せよ、というのが隼が強調したポイントだ。最初が肝心。こんなところで費用をケチってもしょうがない。隼は、堺に営業部隊に対して、この時点での法律事務所起用の必要性を説明し、起用に関する了解を取り付けることも指示した。

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