[連載小説]戦う法務課長 第40話「新人教育編(22)」

2014年5月19日|北島敬之 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社/代表取締役
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力仕事

 

中堅総合商社ミシマが極秘に進めていた融資債権の売却プロジェクト(プロジェクト名「キロ」)は、大詰めを迎えている。

購入先のドイツ系投資銀行であるクラインゲルドは、隼、峰を中心とするプロジェクトメンバーとの交渉を通じて、債権が売却される都度、売却代金を支払うことで、一応の合意を見た。

しかし、それだけで交渉が終わったわけではない。法務とファイナンスの混合であるプロジェクトメンバーには山ほどの仕事が控えていた。ミシマのプロジェクトチームの主な仕事は事実確認と売却代金入金までのスケジュールを確定することである。

 

【プロジェクトメンバーの仕事】

 

1.   売却対象融資債権にかかわる残存債務、金利の確認(金利は、固定でなく、変動で設定されている場合があるので、現時点での金利を確定)

 

2.   債権および担保にかかわる書類原本の整備・確認

 

3.   担保の対抗要件具備状況の確認

 

4.   債務者、保証人、担保提供者への連絡および承諾の取付け

 

一方、田率いるクライド&ケイン外国法事務弁護士事務所の仕事は、融資債権譲渡に関わる契約、担保の移転に関する契約、債務者、担保提供者・保証人からの融資債権譲渡に関する承諾書の作成が主な役割となった。

融資先の国はまちまちであり、それぞれの国で、融資債権譲渡に関する法的な手続や対抗要件の備え方が違ってくる。田は、クライド&ケインのグローバルネットワークを駆使し、必要な法律情報を適時に入手し、書類作成(documentation)に反映させた。書類は膨大な量に及んだが、田のチームは、恐るべきスピードで次々と必要書類を作成し、ミシマとクラインゲルドに投げてきた。

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