


8.契約の成立 吉川 契約の成立についても、日本法と若干違いますよね。offerとacceptanceで契約が成立するということについては、日本法もCISGも、あるいはニューヨーク州法も変わらないわけですけれども、「offerがあって沈黙していた場合は契約が成立するものとする」という規定の仕方を有効視するのかどうかという点で若干違いが出てくるのかなと思いますが、 どうですか。 大貫 ただ、その前に、offerですが、日本法と同じというのは少し問題がありますね。CISGだと、16条1項で、申込...
5.過失責任主義の否定 注1 と不可抗力 注2 という概念 吉川 ここからはCISGの具体的な中身に触れていきたいと思います。CISGと日本法の大きな違いの一つですが、債務不履行の要件として「過失」を要求するかという問題があります。CISGは、「無過失であっても、きちんと契約を履行していない場合は責任を問う」というスタンスですが、一見これは日本法と大きく違うようにみえます。CISG加入後に、これは大きな問題になりそうですか。 小林 日本法においては、債務不履行については過失責任主義だと一応解...
3.7条 注2 の精神とその解釈 吉川 総則の規定で、抽象的・包括的なために実務関係者が見落としそうなものとして7条があります。これは、CISGの機能に関わる重要な条項のように思えます。7条1項では、条約解釈にあたっては、条約の国際性や、適用における統一および信義遵守促進の必要性を考慮しなさいということが規定され、さらに7条2項には、条約において明示されていないものについて「条約の基礎を成す一般原則」に従い、このような原則がない場合には「国際私法の準則により適用される法」に従って解決しましょう...
08年に日本が条約に加入してからも、実務での関心が高いとはいえなかったウィーン売買条約(CISG)であるが、いよいよ09年8月から日本でも発効する。今後、企業が考えるべき影響や対応策はどのようなものだろうか。 企業の法務担当者、弁護士、実務家出身の研究者など4人の専門家に、それぞれの立場から議論していただいた。 以下、(1)†(2)ではオプトアウトの活用など総論的内容を、(3)†(5)では、解除、保証など各条項の問題点について検討する。 (Business Law Journal 2009年5...
■ はじめに 「国際物品売買契約に関する国際連合条約」(略称:「ウィーン売買条約」または「CISG」)は、国際的な物品売買契約に適用される私法統一条約である。日本国政府は08年7月1日に同条約への加入書 注1 を国連事務総長に寄託し、同条約は、わが国については本年、09年8月1日にその効力を生ずることとなった。この条約は、わが国の主要貿易相手国の多くを含む73か国が締約国となっており(日本は71番目の締約国)、日本企業の関わる貿易取引の多くは本条約の適用を受けることになる。従来、貿易取引の準拠...
