座談会

ウィーン売買条約発効後の実務対応(5)
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授/大貫雅晴 社団法人日本商事仲裁協会理事/小林和弘 弁護士・ニューヨーク州弁護士/竹下 香 ダイハツ工業法務室室長

10.完全合意条項を設けての書面性の要求 吉川  次は、契約の成立に関連した11条の方式の話をしましょうか。「売買契約は、書面によって締結し、又は証明することを要しないものとし、方式について他のいかなる要件にも服さない。売買契約は、あらゆる方法によって証明することができる」という規定が入っているのですが、これは書面性を要求する英米法の考え方とは逆で、むしろ日本法に近い考え方です。そういう意味では我々でも十分理解できる規定ではないかと思うのですが、これについてはどのようにお考えですか。 小林  吉...

ウィーン売買条約発効後の実務対応(4)
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授/大貫雅晴 社団法人日本商事仲裁協会理事/小林和弘 弁護士・ニューヨーク州弁護士/竹下 香 ダイハツ工業法務室室長

8.契約の成立 吉川  契約の成立についても、日本法と若干違いますよね。offerとacceptanceで契約が成立するということについては、日本法もCISGも、あるいはニューヨーク州法も変わらないわけですけれども、「offerがあって沈黙していた場合は契約が成立するものとする」という規定の仕方を有効視するのかどうかという点で若干違いが出てくるのかなと思いますが、 どうですか。 大貫  ただ、その前に、offerですが、日本法と同じというのは少し問題がありますね。CISGだと、16条1項で、申込...

ウィーン売買条約発効後の実務対応(3)
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授/大貫雅晴 社団法人日本商事仲裁協会理事/小林和弘 弁護士・ニューヨーク州弁護士/竹下 香 ダイハツ工業法務室室長

5.過失責任主義の否定 注1 と不可抗力 注2 という概念 吉川  ここからはCISGの具体的な中身に触れていきたいと思います。CISGと日本法の大きな違いの一つですが、債務不履行の要件として「過失」を要求するかという問題があります。CISGは、「無過失であっても、きちんと契約を履行していない場合は責任を問う」というスタンスですが、一見これは日本法と大きく違うようにみえます。CISG加入後に、これは大きな問題になりそうですか。 小林  日本法においては、債務不履行については過失責任主義だと一応解...

ウィーン売買条約発効後の実務対応(2)
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授/大貫雅晴 社団法人日本商事仲裁協会理事/小林和弘 弁護士・ニューヨーク州弁護士/竹下 香 ダイハツ工業法務室室長

3.7条 注2 の精神とその解釈 吉川  総則の規定で、抽象的・包括的なために実務関係者が見落としそうなものとして7条があります。これは、CISGの機能に関わる重要な条項のように思えます。7条1項では、条約解釈にあたっては、条約の国際性や、適用における統一および信義遵守促進の必要性を考慮しなさいということが規定され、さらに7条2項には、条約において明示されていないものについて「条約の基礎を成す一般原則」に従い、このような原則がない場合には「国際私法の準則により適用される法」に従って解決しましょう...

ウィーン売買条約発効後の実務対応(1)
吉川英一郎 大阪学院大学法科大学院教授/大貫雅晴 社団法人日本商事仲裁協会理事/小林和弘 弁護士・ニューヨーク州弁護士/竹下 香 ダイハツ工業法務室室長

08年に日本が条約に加入してからも、実務での関心が高いとはいえなかったウィーン売買条約(CISG)であるが、いよいよ09年8月から日本でも発効する。今後、企業が考えるべき影響や対応策はどのようなものだろうか。 企業の法務担当者、弁護士、実務家出身の研究者など4人の専門家に、それぞれの立場から議論していただいた。 以下、(1)~(2)ではオプトアウトの活用など総論的内容を、(3)~(5)では、解除、保証など各条項の問題点について検討する。 (Business Law Journal 2009年5...

ビジネス・ローと「法の支配」
西村高等法務研究所

各分野の研究者と実務の最前線で活躍する弁護士が、法の支配とビジネスとの関係性について議論。理論と実務の架橋を目指す座談会。 [目次] はじめに―現代社会と「法の支配」/ 1.「法の支配」:理念と現実/ 2.行政機関の位置―事前規制・事後規制/ 3.「法の支配」と法律家/ 4.「法の支配」とグローバル化/ まとめ/...

1