取引拒絶・契約解除 [3人の専門家が答える 反社対応の実務]


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[回答者]
大井哲也 弁護士(TMI総合法律事務所)
黒川浩一(元 警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課)
芳賀恒人(株式会社エス・ピー・ネットワーク 総合研究室)

契約締結前の取引拒絶

Q1当社は会員制の施設を運営しています。暴力団員が入会手続をした場合に、どのような理由で拒否できるでしょうか。なお、当社の規約には入墨のある者の入会は拒否し、入会後に判明した場合には解除できる条項があります。


大井
 契約締結前であれば、契約自由の原則が働くため、事業者には、①誰と契約するか、契約しないか、②どのような理由で契約するか、しないかの自由が存する。暴力団組員からの入会申込みの際には、その者の身体に入墨があるか否かをチェックすることができないが、既に暴力団員と分かっている場合には、「当社の入会審査基準に照らして」など抽象的な理由だけを述べることで、入会を拒否することも許される。

契約解除

Q2契約書に「互いに自社役員が反社会的勢力であることが判明した場合は解除する」旨の条項があり、あるとき当社役員の一人が反社会的勢力に該当することと判明した。当社に、故意・過失がない(または小さい)場合であっても解除されてしまうのでしょうか。


大井
 反社会的勢力でないことの表明保証については、その違反についての故意・過失を問わず解除原因が発生すると考えられる。もっとも、解除原因として、違反の重大性を要件とする契約条項もある。

Q3反社会的勢力かどうか断定できず、様子見をしている取引先があります。もし解除に踏み切った場合、相手方から損害賠償請求を受けるリスクはありませんか。


大井
 属性について確固たる証拠資料が収集できていないのであれば、相手方から、解除原因がなく解除が無効であると主張される法的リスクを慎重に検討すべきである。そして、一応の解除原因の立証資料があるが、立証が失敗に終わるリスクを懸念する場合には、相手方から損害賠償請求を受けるリスク(契約が存続することを前提とした逸失利益の賠償など、一般的な契約解除と同様のリスク)を考慮すべきであろう。直ちに解除に踏み切るのではなく、継続監視対象として解除原因の収集を待つというスタンスも合理的な選択肢の一つである。

Q4当社が委託者であるシステム開発に関する業務委託契約において、相手方が暴力団関係企業であることが判明した場合、契約解除した際の委託料債務についてはどう考え、対処するのがよいでしょうか。


大井
 通常の契約解除の効力と同様に考えてよい。契約書の建て付けによるが、システム開発委託契約を解除した場合の効果としては、契約が遡及的に無効となるため、将来発生するであろう委託料の支払いは停止してよいし、既払いの委託料についても返還を求めることができる。

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